共用部・専有部とその対応9

エントランスのインターホンは単なる通信機器
ではありません。セキュリティー入口でもあり
そこから誰でも侵入可能にする事とはマンショ
ン内のセキュリティーを危うくする状況です。
家のカギを失くす・ついうっかりどこかへ置き
忘れる事は誰でもある事です。しかしこの事は
集中呼び出し機器と自動ドアの連動システム、
外側からは開けられない共用ドア(ホテル錠と
いいます)や、1F廊下の侵入防止柵を無効に
してしまうのです。集中呼び出し機器の鍵穴(
シリンダー)のみの変更は可能ですが、出張費
を含むと2~3万円程度かかります。誰かが失く
す度に交換していては出費がかさみすぎるので
居住者が遺失申告されても交換工事等対応はし
ないのが現実となっていますが、居住者には、
意外と知らされていません。
《カギは共通》《住戸玄関の錠は専有部》
《集中呼び出し機器と錠は共用部》である為、
通常使用の際での不具合等では、どこまでが
個人の責任となるのでしょうか?どこまでが
管理費等による対応なのでしょうか?

次回へ続く

共用部・専有部とその対応8

とあるリゾートマンションでのお話ですが、
集中呼び出し機器が経年劣化で不具合となり、
部品がない・修繕できない・新規設置しかない
となり、高額なため総会議案となりました。
夏季休暇か年末年始しか居住者がいない物件に
必要なしとの事から住人合意が取れず、修理
しないまま放置となりました。もちろん
自動ドア外から呼び出せません。この状態で
中古物件として新規購入する方がいるでしょう
か? 不具合で不動産価値を大きく下げるにも
かかわらず、修繕計画にいれていない場合も
あります。実は私もとある不具合がきっかけで
業者様に言われて慌てて全ての計画書に入れま
した。1住戸当平均7万円から10万円で予算計上
致しました。20年から25年で交換工事予定です
(いずれもメーカー担当者談)
そして最も多いのは住戸のカギを失くしてしま
うケースです。集中呼び出し機器に住戸のカギ
を差し込んで回して自動ドアが開きますが、
この鍵穴は逆マスターといい、全住戸用の鍵で
も対応し、自動ドアのスイッチを起動させる物
ですので、どこかで居住者が落として、それを
拾った他人は共用部に入れる事になります。

次回へ続く

一日合同行政相談所(長野会場)2019年11月

【長野市】「一日合同行政相談所(長野会場)」 11月13日(水)午前10時~午後3時 (受付は午後2時30分まで) 場所:トイーゴウエスト4階 大学習室2及び3

2019(令和元)11月13日(水)10時~15時まで、トイーゴウエスト4階(大学習室2及び3)にて「長野一日合同行政相談所」を行います。マンション管理組合の役員・組合員の方を対象に、適切な組合運営の進め方についてアドバイスをさせて頂きます。入場無料ですので、お気軽にご相談ください。

上田市無料相談会 (2019年9月)

【上田市】「マンション管理士によるなんでも相談」 9月25日(水)午後1時~午後4時 場所:上田市役所南庁舎6階(真田の間)

2019(令和元)9月25日(水)13時~16時まで、上田市役所南庁舎6Fにて「マンション管理士によるなんでも相談」を行います。マンション管理組合の役員・組合員の方を対象に、適切な組合運営の進め方についてアドバイスをさせて頂きます。入場無料ですので、お気軽にご相談ください。

共用部・専有部とその対応7

エントランス用 インターホン機器

(その③)インターホン
マンションには集合住宅用エントランス機器が
ありますが、各住戸内へ線がのびています。
玄関壁面内部中央(壁芯)の住戸内側から内が
専有部となり、他は共用部となります。
呼び出し側機器のカメラなし、玄関前機器の
消防設備の室外検査機器なし。又、
室内側機器のディスプレイなし等、機能的劣化
が見受けられる物件があります。
例えば竣工20年目の物件で、ディスプレイが
小型ブラウン管仕様だったりしますが、
故障した場合は取り換え工事は不可能です。
機械設備は総じて7~10年経過すると部品在庫
がなく、修理ができない場合があります。特に
最も使用頻度が高いエントランスの集中呼び出
し機器については新規取り換え工事で100万円
前後と高額で簡単には交換できません。
そして、これは来訪者・業者とのコミュニケー
ションとセキュリティーの要であり、不具合等
が生じた場合にはトラブルが発生します。

次回に続く 

長野県マンション管理士会  玉木 憲

共用部・専有部とその対応6

バルコニーや窓が共用部なのは、外観が不統一
となる事態を避ける為ですが、設備や表装品
(タイル等)は7・8年経過で在庫がなくなる
ケースが多く、外壁タイルはロット(数量単位)
での焼成と焼き窯の確保が必要となり、又玄関
ドアのケースでは特注品で同じ物を作成すると
さらに高額となります。
私は共用部・専有部とその対応を考える際には
同時に《一戸建てだったらどうだろう?》と
考えます。前回の①から⑩の手間は無く、迅速
に修繕を、自費で、表装はイメチェンとして
実施できた事でしょう。
この度のケースは基本的な段階を踏んでの対応
であったと思われます。では現状回復までの
時間は短縮できなかったのでしょうか?
とるべき対応はひとつ、⑨を①にもってくる。
(その①)水道管のケースと同じく、共用部
不具合への対応として、管理費等からの支出を
できるように住人合意をしておく事。
原因は、判明した後に求償等すればよいのです。

次回は ③インターホン 
長野県マンション管理士会  玉木 憲

共用部・専有部とその対応5

竣工9年目・50戸弱の物件において、
縦20cm-横30cm範囲のキズが、2住戸の
玄関ドア表面にある日突然発生?しました。
原因不明の為、先ず竣工時の業者が確認。
イタズラではないか?との判断からその後
マンション保険業者が被害調査を実施。結局
いたずらによる損壊として保険が適用となり
57万円が補償されました。
問題は修繕終了まで1年弱を費やし、他の課題が
残された事です。以下内容
①原因不明の為修繕費は誰が補償するのか不明
②近隣住戸へ状況を確認
③いたずらによるものらしいと判断される
④保険適用となる
⑤見積もりを依頼
⑥同じデザインの表装(金属板)がない
⑦2住戸のみ表装が違うため総会決議とする
⑧工事日を在宅日で調整(実はこれが大変)
⑨工事終了後修繕費で立替え支払い
⑩保険金が修繕口座へ入金
これら判明・決定の度に理事会、理事長へ報告
し、状況を把握して頂きました。
総会では、外観の一部変更を伴う修繕として
説明した上で修繕が議案提出されましたが、
全員の合意で修繕が決議されました。

次回へつづく

長野県マンション管理士会 玉木 憲

共用部・専有部とその対応4

一般的な玄関ドア

(その②)玄関ドア
マンションの玄関ドアには分譲マンション
ならではの権利関係が以下の様に決められ
ています。
1・専有部=住戸側内面(上塗り)と錠。
錠に関しては個人の持ち物になるので
シリンダーのみいつでも交換可能です。
2・共用部=1以外の部分。
本体の中板・クローザー・ネジ1本まで
共用部であり、不具合は管理費等で直し
ます。但し、規約等で定めがある場合、
日常の使用で発生した不具合、又は
他の住戸と比べ劣化が激しい等、特別な
状況の時は個人負担となります。
しかし、日常の使用での不具合か否か?
他住戸と比べられるのか?等抽象的であり
蝶番のネジ1本・クローザー調節で業者を
手配すれば出張費で1万円弱かかります。
明らかに個人差のある不具合に対して
小修繕費を充てるのは望ましくありません
が、個人負担での修繕に任せてしまうと
放置される恐れがあるのです。
故意ではないですが、1年弱玄関ドアの
不具合が放置されたことがあります。

次回へつづく

長野県マンション管理士会 玉木 憲

共用部・専有部とその対応3

マンションでは床下・屋根裏からの漏水で下階を
汚損します。
個人で点検・意匠変更できない箇所との事から共用部扱いであるとの判決がでております。
事故発生時、加害者である上階の住人が気づいている事はほとんどありません。
下階天井から水が漏れてきて連絡があり、上階の住戸へ訪問して「床をはがして点検させてほしい」とお願いしますが、この時に
①「共用部ですから点検のための破壊工事と修繕は
管理費(小修繕費)で実施します」
とお願いするのと、
②「漏水箇所は専有部である可能性が高いので、
原状回復は全てあなたの負担ですがご協力の程
お願いします」
と言うのでは反応が全く違うでしょう。
②では、部屋に入れてくれないかもしれません。
時間が経過すれば被害が大きくなります。
前回で書いたマンションでは漏水事故の際の対応
につき、理事会にて以下の決定がされました。
①床下等の枝管は漏水時は共用部扱いとする
②加害箇所点検は管理費支出で実施する
③現状回復は管理費等で実施する
前述した被害拡大の可能性をなくす事が重要。
修繕費は計画的修繕だけの物ではない。
等の意見がだされました。
判例はきっかけに過ぎず、何よりも住戸は同時期に完成しているため、漏水は連続で発生する可能性が高く、「明日は我が身」との思いが共有されたのです。

次回②玄関ドア へ続く
 
 長野県マンション管理士会 玉木 憲

共用部・専有部とその対応2

平成3年と12年に排水管漏水・平成18年に給湯器の給水管漏水により
下階を汚損した被害で判例があります。
何れも枝管からの漏水でありながら共用部扱いとなり、
管理組合が被害の補償をしています。
訴訟により枝管も共用部扱いとなる可能性があるのです。
被害箇所につき、このような事故では以下の対応となります。
①マンション保険での対応
②個人(加害者・被害者)の火災保険での対応
③加害者が支払う
④管理組合が支払う
そして、
※①では施設賠償保険に入っていれば被害額がほぼ補償される。
※②では個人賠償保険に入っていれば被害額がほぼ補償される。
※③訴訟すれば(判例により)払わなくてよくなる。
※④訴訟されれば(判例により)払う事になる。(管理費支出)
又、破損した管の修繕費用については、
※①②の保険で修繕費用は補償されない(経年劣化は対象とならない)
※③訴訟すれば(判例により)払わなくてよくなる。
※④訴訟されれば(判例により)払う事になる。(管理費支出)
※全て過失が無い場合。
保険については、ある程度竣工から年数が経過した物件は
施設賠償・個人賠償ともに付保しているものと思われますが、
保険内容はそれぞれ違うとして結果もそれに準じます。
問題は③④のケースですが、実際に訴訟しなくても
《判例を知っているか否か》で結果が変わる可能性があるという事です。
以前、上階の漏水で下階を汚損した事故のとき、
下階の被害者専有部で加入の火災保険会社担当者から、
「判例がどうあれ、規約通り専有部扱いでしょう?」と言われましたが、
マンション保険で被害箇所の一部補償・管理費で破損箇所の修繕をしました。
マンション保険の担当者には判例文をみせて説明し、
理事会では同じく判例に基づいて話合いをして頂きました。
ここで言いたいのは、判例を知っていれば得か損かという事ではなく、
管理組合がいかなる対応をすればよいのか?です。
次回へつづく。

長野県マンション管理士会 玉木   憲