事務局移転のお知らせ

2019(令和元)年5月16日より、長野県マンション管理士会の事務局が移転しました。

【新事務局】

〒389-0102  長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1062-39

連絡先:050-7120-6411  FAX:0267-41-0648

E-Mail:info@nagano-mankan.com

今後の郵送物等につきましては、上記住所宛にお送り願います。尚、連絡先電話番号につきましては、留守電にて対応させて頂くことが多いため、ご用件(メッセージ)を残して頂ければ、当事務局より折り返しご連絡させて頂きます。

絶対的規約事項5  共用部分の共有関係④

信州は上田市で、マンション管理士をしております雪入です。さて今日は、マンションの共用部分について、全員の同意があれば、抵当権の設定を行う事ができるのかどうかについて解説してみたいと思います。ただしマンションの共用部分には「法定共用部分」と「規約共用部分」があるので、まずは「法定共用部分」について解説したいと思います。

①「法定共用部分」

そもそも、不動産の物件の取得や喪失また変更などは、登記をしておかないと第三者に対抗できないのが原則です(民法第177条)。従って民法上の共有では、共有物の持ち分を譲り受けた者は、その持ち分を登記しておかなければ第三者に対抗する事はできません。裏を返せば、登記さえすれば第三者に対抗する事が出来ます。ちなみに「第三者に対抗できない」とは、当事者以外の他人に対しては「俺のものだ!」と主張する事ができない、という意味です。

しかし、現実問題として、マンションの共用部分の持ち分については、その有する専有部分を所有している区分所有者が自由に譲渡出来るとすると、権利関係が錯綜することになり、他の区分所有者の権利にも多大な影響が生じます。 そこでマンションにおいては、共用部分の持ち分を専有部分と分離して処分することは原則として禁止されており(区分所有法第15条第2項)、共用部分の持ち分は、その有する専有部分の処分に従わなければなりません(同条第1項)。 また共用部分の持ち分を、その有する専有部分の処分に従う事にすると、登記についても、専有部分の登記をもって、共用部分の持ち分を第三者に対抗する事が出来るようにする事が必要です。そこで区分所有法は、第11条3項において、「民法177条の規定は、共用部分には適用しない。」と規定しました。つまり、共用部分の持ち分の取得を共用部分に登記しなくても、専有部分の取得の登記で、共用部分の持ち分の取得を第三者に対抗する事が出来る、としたのです。

従って、マンションの法定共用部分については、そもそも登記する事自体が不可能なので、登記をした物件に、登記をすることで第三者に対する対抗要件とする事が出来る抵当権の設定は出来ない事になります。次回は「規約共用部分」について抵当権の設定ができるかについて解説してみたいと思います。

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

絶対的規約事項4  共用部分の共有関係③

信州は上田市で、マンション管理士をしております雪入です。今日は、特別法である区分所有法の「共有」について、民法と比較しながら解説してみたいと思います。

民法では、各共有者は共有物の全部について持ち分に応じて使用する事ができますが(第249条)、区分所有法においては、持ち分に関係なく、用法に従って使用できます(第13条)。つまり共用部分の構造上の使用目的に従っているのであれば自由に使用できる事になります。例えば、開放廊下は基本的には通行のためだけに使用することができ、物を置いたり遊んではいけません。

また民法では、持ち分の割合は特段の定めがない限り均等と推定されますが(第250条)が、区分所有法においては、専有部分の床面積の割合によります(第14条1項)。 そして自己の持ち分の処分について、民法では自由にできますが(第206条)、区分所有法においては、共有部分と専有部分との分離処分は、規約に定めない限りは禁止されます(第22条第1項)。

そして賃貸借契約の締結や解除などの「共有物の管理」については、 民法では、持ち分の価格の過半数により行う事ができますが(第252条本文)、区分所有法においては、集会の決議により区分所有者および議決権の各過半数により決めていくことになります(第18条)。 問題となるのが抵当権の設定など「共有物の変更」についてです。民法では、全員の同意がなければ行う事ができない(第251条)とされています。即ち全員の同意がなければ、抵当権の設定を行う事が出来ません。では区分所有建物であるマンションの共用部分についてはいかがであろうか?続く。

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

絶対的規約事項3  共用部分の共有関係②

信州は上田市で、マンション管理士をしております雪入です。今日は区分所有法やマンション標準管理規約の「共有」と、私法の一般法である民法の「共有」の規定は同じものなのか、について解説してみたいと思います。

まず一般法である民法は、「共有」について第249条以下に規定しています。簡単に言うと、各共有者は共有物の全部について、持ち分に応じて使用する事が出来(第249条)、持ち分の割合は特段の定めがない限り均等と推定されます(第250条)。また自己の持ち分の処分は自由に出来(第206条)、保存行為は単独ですることが出来ます(第252条但書)。管理の費用については、当然ながら持ち分に応じて負担しなければなりません(第253条)。

次に、賃貸借契約の締結や解除などの「共有物の管理」については、 持ち分の価格の過半数により行う事が出来ますが(第252条本文)、抵当権の設定など「共有物の変更」は全員の同意がなければ行う事が出来ません(第251条)。なお、各共有者はいつでも「共有物の分割」を、他の共有者に対して行う事が出来ます(第256条本文)。もし共有者の一人が、①自己の持ち分を放棄したとき、また②相続人がなく死亡した場合には、その共有者の持ち分は他の共有者に移転します(第255条)。

次回は特別法である区分所有法の「共有」について解説ししてみたいと思います。

マンション管理士  雪入 憲生(Norio Yukiire)

絶対的規約事項2  共用部分の共有関係①

信州は上田市で、マンション管理士をしております雪入です。今日から本格的に、区分所有法が規定する「絶対的規約事項」について解説します。

さて、区分所有法(以下法とする)は第11条第1項において「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。」と規定し、同条第2項において「前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。(以下省略)」と規定している事から、本項の規定は「絶対的規約事項」です。

ここで「共用部分」とは、前回も解説したように「法定共用部分」と「規約共用部分」の事です。従って「敷地」は「共用部分」ではありません。ちなみに「敷地」にも共用部分同様、「法定敷地」と「規約敷地」があります(法第5条第1項)。さらに「みなし規約敷地」という敷地もあります(同条第2項)。なお、これらの規定も「絶対的規約事項」です。

そしてこれらの規定を受けて、マンション標準管理規約は第9条において「対象物件のうち敷地および共用部分等は、区分所有者の共有とする」と規定し、区分所有法と同様の確認規定を設けています。 ではこの「共有」とは一体何を意味するのか?。私法の一般法である民法にも「共有」の規定があることから、両者は同じものなのかが次に問題となります。続く。

マンション管理士  雪入 憲生(Norio Yukiire)

絶対的規約事項1  規約共用部分の定め 

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日から「絶対的規約事項」について解説してみたいと思います。

「絶対的規約事項」とは、その名の通り規約でしか定める事のできないものを言います。区分所有法(以下、法とする。)にはたくさんの絶対的規約事項の規定がありますが、区分所有法そのものがそうであるように、その規定を分類すると大きく二つに分ける事が出来ます。一つはマンションそのものについて、もう一つはマンションを巡る管理組合の運営についてです。分かりやすく言うと前者はハード面の規定であり、後者はソフト面の規定とも言えます。

そこでまずは、ハード面である、マンションそのものについての絶対的規約事項について解説して行きたいと思います。 ①規約共用部分の定め(法第4条第2項) そもそも区分所有建物は、マンション住民の居住スペース等の「専有部分」と、それ以外の、廊下や階段室、またエレベーター室などの「共用部分」から成り立っており、それ以外の「部分」は存在しません。 そして「共用部分」には、「法定共用部分」と「規約共用部分」があります。前者は廊下や玄関ホール等、初めから共同で使用する事が明らかな部分です。これに対して後者は、本来は専有部分となりうる建物の部分を管理人室にする場合や物置などの付属の建物を、規約によって特別に共用部分としたものを言います。 なお、「法定共用部分」と「規約共用部分」は、同じ共用部分ですが、「登記」に関しては大きな違いがあります。「法定共用部分」は、そもそも「登記」が存在しないのに対して、「規約共用部分」は登記をしないと第三者に対抗する事が出来ません。

そして法は、第4条第2項において、専有部分となりうる建物の部分を管理人室にしたり、物置などの付属の建物を共用部分とするためには、「規約」による事を規定しています。即ち「規約」によらなければ、専有部分となりうる建物の部分を管理人室にしたり、物置などの付属の建物を共用部分とする事は出来ません。つまり「集会決議」や「細則」等の「規約」以外では、専有部分となりうる建物の部分を管理人室にしたり、物置などの付属の建物を共用部分とする事は出来ない事になり、この事を指して「絶対的規約事項」と言います。 そして区分所有法第4条第2項の規定を受けて、マンション標準管理規約」は、第8条において共用部分の範囲を別表2において規定しています。

「絶対的規約事項」という、なにやら難しい言葉のもつイメージをご理解頂けたと思いますので、次回から本格的に、区分所有法が規定する「絶対的規約事項」について解説してみたいと思います。

マンション管理士  雪入 憲生(Norio Yukiire)

雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約13  専有部分の管理③

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は共用部分と構造上一体となった専有部分の管理について解説してみたいと思います。

『共用部分と構造上一体となった専有部分』とは、①給水管②ガス管③電気配管等の配管や配線を言います。これらの管理は専有部分である以上は、基本的には各マンション住民が管理をするのが原則です(マンション標準管理規約第20条2項、以下規約とする。)。しかしなかながら、マンション内の配管や配線は通常新築時から等しく劣化していくものであり、配管や配線の劣化による漏水やガス漏れ、漏電等の事故を防止するために修繕や交換をしようとする場合には、管理組合が共用部分、専有部分を問わず全ての工事を行うことが出来るようにしておく必要性があります。また管理組合が共用部分、専有部分を問わず全ての工事を行うことは、別々に工事を行うよりも費用を安く抑えることができるというメリットもあります。そこで共用部分の管理と一体として行う必要があるときには、管理組合が行う事が出来るようにしています(規約第21条第2項)。

もっとも実際にかかる費用については、①配管等の清掃費用については「共用設備分の保守維持費」として管理費を充当する事が可能であると考えられていますが(規約第27条3号参考)、②配管等の修繕や交換については、専有部分内のものについては各マンション住民が負担する事になります(規約第21条コメント⑧)。ちなみに規約第20条は、所有者等の建物の維持保全義務を規定した建築基準法第8条を踏まえた上での確認規定です。

管理組合が、共用部分と構造上一体となった専有部分の管理を行う際には、総会の決議が必要です(規約第48条⑨号)。また管理組合は、管理を行うために必要な範囲において、マンション住民の室内やベランダ等に立入りの請求をする事が出来ます(規約第23条第1項)。なおマンション住民がその室内においてリフォーム等を行う場合に、共用部分に影響を与える配管や配線工事をする場合には、理事長に申請して書面による承認を受ける必要があります(規約17条)。

専有部分の管理については以上となります。次回からは「絶対的規約事項」について解説してみたいと思います。お楽しみに!

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約12  専有部分の管理②

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は前回に引き続き、専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分の管理について解説してみたいと思います。

前回、料金メーターについては共用部分としたほうが妥当であるとお話しましたが、それでは雑排水管や汚水管(以下、排水管等とする。)については、管理組合としてどのように管理していく事が妥当でしょうか?

そもそも排水管や汚水管については、建物の付属物として専有部分に属さない場合には法定の共用部分となります(区分所有法第4条第1項、以下法とする)。従って、躯体より室内側にある排水管等については専有部分と考えるのが原則です(区分所有法第14条第3項)。

しかし排水管等から漏水等の事故があった場合には、どこから漏水して、一体誰に原因があるのか等、特定するのが困難な場合があります。この場合には区分所有者の団体として解決していく事が合理的です。そこで区分所有法は、専有部分であったとしても規約により共用部分にする事が出来ると規定しています(法第4条第2項)。

そしてこの規定を受けてマンション標準管理規約は、排水管等については「配管継手、および立管」については共用部分であるとしています(規約第8条→別表第2)。また専有部分内にある、上下水道やガスの配管を上下階に通すためのパイプスペース(PS)についても共用部分としています(マンション標準管理規約第8条→別表第2)。

このように、雑排水管や汚水管のような専有部分に属しない建物の付属物(法定共用部分)については、規約により共用部分とすることにより、実際に発生するさまざまな問題を区分所有者の団体である管理組合が解決出来るようにしています。続く。

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約11  専有部分の管理①

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分の管理について解説してみたいと思います。

「専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分」とは、具体的には①給水管②排水管③ガス管④電気配管等の事を言います。そして以前にも解説したように、マンション標準管理規約(以下、規約とする)によると、壁・天井・床・柱・梁などの「躯体部分」はすべて共用部分であり、その上塗り部分や内装部分は専有部分になります(規約第7条2項1号「上塗り説」)。

従って基本的には、躯体部分よりマンション住民の室内側にある配管は専有部分となります。ただし、給水管、ガス管、電気配管については料金メーターが付いているので、料金メーターより室内側はたとえマンション住民の室外であったとしても「専有部分である設備」と考えるべきです。

次に、料金メーターについては各マンションの規約により専有部分としているところもあれば、共用部分としているところもあり一概には言えませんが、多くのマンションでは共用部分としています。これは戸建て住宅の場合に、各料金メーターが事業者の所有物であって住宅の持ち主の所有物ではない事と比較すると、均衡の取れた妥当な解釈だと思います。続く

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約10  損害保険の契約締結権

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は損害保険の締結について解説してみたいと思います。なおここで解説する損害保険とは、あくまでも「共用部分」について掛ける損害保険の事であり、その損害保険とは通常は「火災保険」と言われている保険の事です。そしてこの火災保険とあわせて加入できる「地震保険」や、火災保険に付けることのできる賠償責任補償特約なども「共用部分」に掛ける損害保険に含まれています。

さて、共用部分について火災保険等の損害保険を掛けるという行為は、「共用部分の管理」にあたる行為です(区分所有法第18条第4項)。共用部分の管理については、前回も解説しましたように「集会の普通決議」により決めていくのが原則です(区分所有法第18条第1項、以下「法」とする。)。そして法18条第2項は規約で別の定めをする事が出来るとしており、本項は絶対的規約事項です。そしてマンション標準管理規約(以下、規約とする。)は、法18条第2項の規定により第5章「管理」のなかで損害保険について規定しています(規約第24条第1項)。即ち「区分所有者は、共用部分に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する」と規定しています(規約24条1項)。ではここでいう「管理組合」とは果たして一体誰の事をいうのでしょうか?

そもそもマンション標準管理規約は、管理組合に理事や監事という「役員」をおいて(規約第35条)、理事をもって構成する理事会(規約第51条第1項)が管理組合の業務執行を決定し(第51条第2項)、理事長が業務を遂行する(規約第38条第1項)仕組みを管理組合内に設けています。そして監事には理事会の業務執行や財産の状況を監視する役割を担わせています。とすると火災保険を締結する「管理組合」とは、理事の半数以上が出席した「理事会」の事を指すものと考えるべきです。だからこそマンション標準管理規約も第32条において「共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務」は管理組合の業務としたのです。もっとも実際に損害保険の契約を締結する場合には、管理組合を代表しその業務を統括する理事長が保険契約者となります。業務を遂行するのはあくまでも理事長だからです(規約第38条第1項)。ちなみに契約者名は「○○管理組合 理事長 ●●●●」となります。 以上より、「区分所有者は、共用部分に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する」と規定する規約第24条第1項は「理事会が損害保険の契約について締結権を有し、マンション住民はそれに従う」と解釈する事になります。続く。

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)