絶対的規約事項2  共用部分の共有関係①

信州は上田市で、マンション管理士をしております雪入です。今日から本格的に、区分所有法が規定する「絶対的規約事項」について解説します。

さて、区分所有法(以下法とする)は第11条第1項において「共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。」と規定し、同条第2項において「前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。(以下省略)」と規定している事から、本項の規定は「絶対的規約事項」です。

ここで「共用部分」とは、前回も解説したように「法定共用部分」と「規約共用部分」の事です。従って「敷地」は「共用部分」ではありません。ちなみに「敷地」にも共用部分同様、「法定敷地」と「規約敷地」があります(法第5条第1項)。さらに「みなし規約敷地」という敷地もあります(同条第2項)。なお、これらの規定も「絶対的規約事項」です。

そしてこれらの規定を受けて、マンション標準管理規約は第9条において「対象物件のうち敷地および共用部分等は、区分所有者の共有とする」と規定し、区分所有法と同様の確認規定を設けています。 ではこの「共有」とは一体何を意味するのか?。私法の一般法である民法にも「共有」の規定があることから、両者は同じものなのかが次に問題となります。続く。

マンション管理士  雪入 憲生(Norio Yukiire)

絶対的規約事項1  規約共用部分の定め 

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日から「絶対的規約事項」について解説してみたいと思います。

「絶対的規約事項」とは、その名の通り規約でしか定める事のできないものを言います。区分所有法(以下、法とする。)にはたくさんの絶対的規約事項の規定がありますが、区分所有法そのものがそうであるように、その規定を分類すると大きく二つに分ける事が出来ます。一つはマンションそのものについて、もう一つはマンションを巡る管理組合の運営についてです。分かりやすく言うと前者はハード面の規定であり、後者はソフト面の規定とも言えます。

そこでまずは、ハード面である、マンションそのものについての絶対的規約事項について解説して行きたいと思います。 ①規約共用部分の定め(法第4条第2項) そもそも区分所有建物は、マンション住民の居住スペース等の「専有部分」と、それ以外の、廊下や階段室、またエレベーター室などの「共用部分」から成り立っており、それ以外の「部分」は存在しません。 そして「共用部分」には、「法定共用部分」と「規約共用部分」があります。前者は廊下や玄関ホール等、初めから共同で使用する事が明らかな部分です。これに対して後者は、本来は専有部分となりうる建物の部分を管理人室にする場合や物置などの付属の建物を、規約によって特別に共用部分としたものを言います。 なお、「法定共用部分」と「規約共用部分」は、同じ共用部分ですが、「登記」に関しては大きな違いがあります。「法定共用部分」は、そもそも「登記」が存在しないのに対して、「規約共用部分」は登記をしないと第三者に対抗する事が出来ません。

そして法は、第4条第2項において、専有部分となりうる建物の部分を管理人室にしたり、物置などの付属の建物を共用部分とするためには、「規約」による事を規定しています。即ち「規約」によらなければ、専有部分となりうる建物の部分を管理人室にしたり、物置などの付属の建物を共用部分とする事は出来ません。つまり「集会決議」や「細則」等の「規約」以外では、専有部分となりうる建物の部分を管理人室にしたり、物置などの付属の建物を共用部分とする事は出来ない事になり、この事を指して「絶対的規約事項」と言います。 そして区分所有法第4条第2項の規定を受けて、マンション標準管理規約」は、第8条において共用部分の範囲を別表2において規定しています。

「絶対的規約事項」という、なにやら難しい言葉のもつイメージをご理解頂けたと思いますので、次回から本格的に、区分所有法が規定する「絶対的規約事項」について解説してみたいと思います。

マンション管理士  雪入 憲生(Norio Yukiire)

雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約13  専有部分の管理③

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は共用部分と構造上一体となった専有部分の管理について解説してみたいと思います。

『共用部分と構造上一体となった専有部分』とは、①給水管②ガス管③電気配管等の配管や配線を言います。これらの管理は専有部分である以上は、基本的には各マンション住民が管理をするのが原則です(マンション標準管理規約第20条2項、以下規約とする。)。しかしなかながら、マンション内の配管や配線は通常新築時から等しく劣化していくものであり、配管や配線の劣化による漏水やガス漏れ、漏電等の事故を防止するために修繕や交換をしようとする場合には、管理組合が共用部分、専有部分を問わず全ての工事を行うことが出来るようにしておく必要性があります。また管理組合が共用部分、専有部分を問わず全ての工事を行うことは、別々に工事を行うよりも費用を安く抑えることができるというメリットもあります。そこで共用部分の管理と一体として行う必要があるときには、管理組合が行う事が出来るようにしています(規約第21条第2項)。

もっとも実際にかかる費用については、①配管等の清掃費用については「共用設備分の保守維持費」として管理費を充当する事が可能であると考えられていますが(規約第27条3号参考)、②配管等の修繕や交換については、専有部分内のものについては各マンション住民が負担する事になります(規約第21条コメント⑧)。ちなみに規約第20条は、所有者等の建物の維持保全義務を規定した建築基準法第8条を踏まえた上での確認規定です。

管理組合が、共用部分と構造上一体となった専有部分の管理を行う際には、総会の決議が必要です(規約第48条⑨号)。また管理組合は、管理を行うために必要な範囲において、マンション住民の室内やベランダ等に立入りの請求をする事が出来ます(規約第23条第1項)。なおマンション住民がその室内においてリフォーム等を行う場合に、共用部分に影響を与える配管や配線工事をする場合には、理事長に申請して書面による承認を受ける必要があります(規約17条)。

専有部分の管理については以上となります。次回からは「絶対的規約事項」について解説してみたいと思います。お楽しみに!

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約12  専有部分の管理②

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は前回に引き続き、専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分の管理について解説してみたいと思います。

前回、料金メーターについては共用部分としたほうが妥当であるとお話しましたが、それでは雑排水管や汚水管(以下、排水管等とする。)については、管理組合としてどのように管理していく事が妥当でしょうか?

そもそも排水管や汚水管については、建物の付属物として専有部分に属さない場合には法定の共用部分となります(区分所有法第4条第1項、以下法とする)。従って、躯体より室内側にある排水管等については専有部分と考えるのが原則です(区分所有法第14条第3項)。

しかし排水管等から漏水等の事故があった場合には、どこから漏水して、一体誰に原因があるのか等、特定するのが困難な場合があります。この場合には区分所有者の団体として解決していく事が合理的です。そこで区分所有法は、専有部分であったとしても規約により共用部分にする事が出来ると規定しています(法第4条第2項)。

そしてこの規定を受けてマンション標準管理規約は、排水管等については「配管継手、および立管」については共用部分であるとしています(規約第8条→別表第2)。また専有部分内にある、上下水道やガスの配管を上下階に通すためのパイプスペース(PS)についても共用部分としています(マンション標準管理規約第8条→別表第2)。

このように、雑排水管や汚水管のような専有部分に属しない建物の付属物(法定共用部分)については、規約により共用部分とすることにより、実際に発生するさまざまな問題を区分所有者の団体である管理組合が解決出来るようにしています。続く。

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約11  専有部分の管理①

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分の管理について解説してみたいと思います。

「専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分」とは、具体的には①給水管②排水管③ガス管④電気配管等の事を言います。そして以前にも解説したように、マンション標準管理規約(以下、規約とする)によると、壁・天井・床・柱・梁などの「躯体部分」はすべて共用部分であり、その上塗り部分や内装部分は専有部分になります(規約第7条2項1号「上塗り説」)。

従って基本的には、躯体部分よりマンション住民の室内側にある配管は専有部分となります。ただし、給水管、ガス管、電気配管については料金メーターが付いているので、料金メーターより室内側はたとえマンション住民の室外であったとしても「専有部分である設備」と考えるべきです。

次に、料金メーターについては各マンションの規約により専有部分としているところもあれば、共用部分としているところもあり一概には言えませんが、多くのマンションでは共用部分としています。これは戸建て住宅の場合に、各料金メーターが事業者の所有物であって住宅の持ち主の所有物ではない事と比較すると、均衡の取れた妥当な解釈だと思います。続く

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区分所有法とマンション標準管理規約10  損害保険の契約締結権

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は損害保険の締結について解説してみたいと思います。なおここで解説する損害保険とは、あくまでも「共用部分」について掛ける損害保険の事であり、その損害保険とは通常は「火災保険」と言われている保険の事です。そしてこの火災保険とあわせて加入できる「地震保険」や、火災保険に付けることのできる賠償責任補償特約なども「共用部分」に掛ける損害保険に含まれています。

さて、共用部分について火災保険等の損害保険を掛けるという行為は、「共用部分の管理」にあたる行為です(区分所有法第18条第4項)。共用部分の管理については、前回も解説しましたように「集会の普通決議」により決めていくのが原則です(区分所有法第18条第1項、以下「法」とする。)。そして法18条第2項は規約で別の定めをする事が出来るとしており、本項は絶対的規約事項です。そしてマンション標準管理規約(以下、規約とする。)は、法18条第2項の規定により第5章「管理」のなかで損害保険について規定しています(規約第24条第1項)。即ち「区分所有者は、共用部分に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する」と規定しています(規約24条1項)。ではここでいう「管理組合」とは果たして一体誰の事をいうのでしょうか?

そもそもマンション標準管理規約は、管理組合に理事や監事という「役員」をおいて(規約第35条)、理事をもって構成する理事会(規約第51条第1項)が管理組合の業務執行を決定し(第51条第2項)、理事長が業務を遂行する(規約第38条第1項)仕組みを管理組合内に設けています。そして監事には理事会の業務執行や財産の状況を監視する役割を担わせています。とすると火災保険を締結する「管理組合」とは、理事の半数以上が出席した「理事会」の事を指すものと考えるべきです。だからこそマンション標準管理規約も第32条において「共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務」は管理組合の業務としたのです。もっとも実際に損害保険の契約を締結する場合には、管理組合を代表しその業務を統括する理事長が保険契約者となります。業務を遂行するのはあくまでも理事長だからです(規約第38条第1項)。ちなみに契約者名は「○○管理組合 理事長 ●●●●」となります。 以上より、「区分所有者は、共用部分に関し、管理組合が火災保険、地震保険その他の損害保険の契約を締結することを承認する」と規定する規約第24条第1項は「理事会が損害保険の契約について締結権を有し、マンション住民はそれに従う」と解釈する事になります。続く。

マンション管理士 雪入 憲生(Norio Yukiire)

区部所有法とマンション標準管理規約9  共用部分との境界②

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は前回を踏まえて、具体的に専有部分と共用部分の境界について解説してみたいと思います。

一、共用部分について

①バルコニー等の管理

内法説を採用する区分所有法(第14条第3項、以下法とする。)はもちろん、上塗り説を採用するマンション標準管理規約(第7条第2項第1号。以下、「管理規約」とする。)によってもバルコニーや窓ガラス、また玄関扉などは専有部分ではなく共用部分です(管理規約第7条第2項第3号)。そして共用部分の管理については「集会の普通決議」により決めていくのが原則です(法18条1項)。 ただし規約で別の定めをすることが認められており(法18条2項)、これを受けて管理規約では「バルコニー等については、マンション住民である区分所有者が「専用使用権」をもっており、「通常の用法に従って使用しなければならないとされています(管理規約第14条1項関係コメント)。「通常の用法に従って使用」するとは、簡単にいうと「通常の使用」のことです(笑)。通常の使用に伴う範囲であれば専用使用権者である区分所有者が管理しなければならない事になります。例えば、バルコニーの清掃や窓ガラスを割ってしまったら入れ替えるなどです。明文上の規定はないものの、そのように解釈されています。なお「専用使用権」を有していても、共用部分の管理のため必要がある場合には、管理組合の役員等他の者の立ち入りを受けることなどの制限があります(管理規約第23条1項)。そしてこの事は「専有部分」においても同様です。 また通常の使用の範囲を超えた管理については、もはや「専用使用権」の範囲外であるため、原則にもどり「集会の普通決議」により決めていく事になります(区分所有法18条1項)。例えば大規模修繕工事や計画修繕工事などがそうです。ただし計画修繕工事として実施するもののうち、窓ガラスや玄関扉等の改良工事については管理規約により別の定めがされており「管理組合がその責任と負担において実施するもの」とされています(法18条2項、管理規約22条1項)。

②損害保険の締結 次回に譲ります。

 

第2回関東甲信越ブロック代表者会議

2018年11月27日(火)埼玉会館にて開催された「第2回関東甲信越ブロック代表者会議」に参加しました。 マンション管理士賠償責任保険、マンション管理適正化診断サービス、管理組合賠償補償金給付制度、行政受託事業事例、マンションADR関連、関東甲信越ブロック研修事業、管理不全マンション対策、マンションみらいネット等の内容盛り沢山の重要な会議となりました。 ただ、マンション管理士活用における周知活動や社会的地位の向上、専門性を深める研修制度の充実等や実務上での課題もまだまだあることが分かり、できる限り会員会レベルの問題点等もフィードバック出来るよう尽力したいと思います。

区分所有法とマンション標準管理規約8  共用部分との境界①

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日から専有部分と共用部分の境に関する区分所有法と標準管理規約の違いについて解説してみたいと思います。
そもそも区分所有建物であるマンションにおける各部分は、すべて専有部分か共用部分に属します。専有部分とは構造上の独立性と利用上の独立性があり、区分所有権の対象となる建物の部分をいい、それ以外の階段室やエレベーター室等の共同で使用する部分はすべて共用部分となります。
次に共用部分は、「法定共用部分」と「規約共用部分」に分ける事が出来ます。「法定共用部分」とは廊下・階段室・玄関ホール・エレベーター室など、初めから共同で使用する事が明らかな部分です。これに対して「規約共用部分」とは本来は専有部分となりうる建物の部分や物置などの付属建物を、規約によって特別に共用部分とした部分です。
そして専有部分と共用部分の境界については3つの考え方があります。一番目は「内法説」、二番目は「上塗り説」、そして三番目は「壁芯基準」です。
①「内法説」とは柱・壁・床・天井などの「境界部分」はすべて共用部分であり、境界部分によって囲まれた空間部分のみが専有部分とする考え方です。区分所有法は14条3項においてこの考え方を採用しており、また登記簿に記載されている面積も内法計算により算出されています。
②「上塗り説」とは壁・天井・床・柱・梁などの「躯体部分」はすべて共用部分であり、その上塗り部分や内装部分は専有部分になるとする考え方です。マンション標準管理規約(以下、規約とする)は7条2項1号においてこの考え方を採用します。
③「壁芯説」とは壁・天井・床の中心線までが専有部分で、それ以外は全て共有部分とする考え方です。規約10条においては共有持分の割合の基準となる面積を壁芯計算によるものしています。

以上より専有部分と共用部分の境界については、原則は区分所有法において「内法説」を採用し、例外として標準管理規約において「上塗り説」を採用する事も認容しています(区分所有法14条4項)。ただし共用部分の「持分」については規約においては「壁芯基準」による事とされています。これは実際上の必要性からくるもので、共用部分の持分を内法説や上塗り説で出す事は、マンション建築においてはほぼ不可能だからです。続く

マンション管理士 雪入 憲生

マンション管理士登録番号:第0015030261号
日管連登録マンション管理士番号:第20-000002号
マンションADR実施者適正試験合格者
マンションみらいネット登録補助者

区分所有法とマンション標準管理規約4  共用部分の管理③

信州は上田市でマンション管理士をしております雪入です。今日は「一部共用部分の管理」について解説してみたいと思います。「一部共用部分」とはその名の通り、共用部分のうち一部のマンション住民で共有する建物の一部分を言います。例えば店舗併設のマンション(下駄ばきマンション)において、下層階の店舗部分のみの用途に供される出入口・階段・エスカレーター・空気調節設備等や、上層階の住宅部分のみの用途に供される玄関・エレベーター・階段等などです。

区分所有法は「一部共用部分の管理」については第16条において規定していますが、以下場合分けをして解説してみたいと思います。
①「一部共用部分」のうち区分所有者全員の利害に関係する部分については区分所有者全員で管理する(区分所有法第16条)。
②「一部共用部分」のうち区分所有者全員の利害に関係しない部分であっても、区分所有者全員が規約を設定して「区分所有者全員で管理する」旨の規定を設けた場合には、やはり区分所有者全員で管理する(区分所有法第30条第2項)。
ただしその「一部共用部分」を共用すべき区分所有者の1/4を超える者の反対や、区分所有者の議決権の1/4を超える反対がある場合には、「区分所有者全員で管理する」旨の「規約」を定める事はできない(区分所有法第31条第2項)。
③「一部共用部分」のうち区分所有者全員の利害に関係しない部分で、区分所有者全員で「区分所有者全員で管理する」旨の規定の規約を設けない場合には、一部共用部分を共用すべき区分所有者のみで管理する(区分所有法第16条)。
この場合において、一部共用部分の管理または使用に関する事項については、一部共用部分を共用すべき区分所有者が規約で定める事ができる(区分所有法第30条第2項)。

以上「一部共用部分の管理」について解説してみました。次回からは専有部分と共用部分の境に関する区分所有法と標準管理規約について解説してみたいと思います。お楽しみに。

マンション管理士
雪入 憲生(Norio Yukiire)

マンション管理士登録番号:第0015030261号
日管連登録マンション管理士番号:第20-000002号
マンションADR実施者
マンションみらいネット登録補助者